秩父・箕山〜なかなかいいぞ!

天気がいいのでまた関東低山めぐりをすることにした。

4月の末には大高取山へ2回目のアタックをしたのだが、今回はまた西武鉄道のハイキングマップから、「美の山(箕山)」を選択した。秩父郡皆野町秩父市にかかる、標高586mの山である。

586mとはいえ、スタートの親鼻駅からの標高差は約320m。「ふん、楽勝やろ」と思って軽い気持ちで乗り出したのだが。。


これがスタート地点の親鼻駅。ついたのは13時過ぎだった。電車を降りた途端、ポツポツと雨が降ってきて焦ったが、まあすぐ晴れるやろ、と勝手に断定して先に進むことにする。


駅から道路を挟んだ向かい側に、登山道への入り口看板を発見。この先にあるお寺をパスして進むようだ。


いなかにはこういう大きな鯉のぼりがあちこちに見られていい。都心じゃこういう風景、もう見れないよなあ。


萬福寺。特に案内表示がなかったので、そのまま境内に入ってみた。このまま突っきった先に登山道があるのか?とちょっと不安になる。


おお、入り口があった。よし、レッツアンドゴーだ。


登山道は細いが、きちんと踏み固められており石などもなく、とても歩きやすく整備されている。ところどころ段もつけてあり、これなら初心者でも登るのに難はないだろう。


道中はずっと、こんな風な広葉樹を中心とした雑木林に囲まれた道をくねくねと登っていく。あまり景観に変化はないのだが、何しろ天気がよいので、さんさんと降り注ぐ木漏れ日が実に明るく、楽しい気分にさせてくれる。


埼玉近辺の山はほとんど杉や檜が植えられていて、たいていは薄暗い登山道を進むことが多いので、久しぶりにこういう道を歩けてうれしい。

下草などもそこそこ手入れされており、おそらく現在でも地元民に薪炭などを供給する「里山」として大切にされているであろうことが伺える。


それにしても延々とこんな道が続いてろくすっぽ腰を休めるところもなく、かと言って歩きやすいのでズンドコ登れてしまい、気がつくとえらい息が上がってしまった。勾配は結構あるのである。


道端に咲いていた桔梗の花。


頂上が近くなってくると、そこかしこにツツジが咲いているのが見えてきた。そう、秩父といえばツツジなのである。


明るい尾根に出た。この先に東屋のようなものが見えたので、頂上か?と思いさらに進む。


着いたのは頂上ではなく、中腹の見晴らし園地というところだった。ここまでほとんど見えなかった展望が少しだけ見えた。頂上まではさらに1kmちょっとあるようだ。


ここから先は「県立美の山公園」として整備されたエリアとなり、きちんと舗装された道を進むことになる。


途中にこんなこじゃれた展望台があった。


木が多くてさほどの展望はないのだが、秩父市街の様子が見えた。


さあ、後はもう少し登っていよいよ頂上である。ツツジがいよいよ沢山咲いている。


ちょっと寄り道して「ツツジ園地」に入ってみると、


こんな感じでツツジのトンネルをくぐり抜けるような遊歩道になっていた。


よし、頂上とうちゃーく!!
だいたい登山開始から1時間半くらいの道のりであった。
頂上は広いスペースがあって綺麗に整備されており、車で登ってきた家族連れがボール遊びをするくらいの余裕があった。とてもいい感じである。


展望台があるので登ってみると。


うわぁっ!これはすごい!

武甲山を南にみつつ、荒川が作り上げた河岸段丘の上に広がる秩父市街が一望できる180度の大パノラマである。標高のわりにこのダイナミックな景観は予想を超えて遥かに素晴らしいものだった。

武甲山は削られてしまったとはいえ、美しく堂々たるシルエットの山だなぁ。ちょっと俺にはレベルが高いのだが、いつか登ってみたい。


例によってパノラマ写真を収めてみる。


頂上の広場には売店もあるのだが、閉まっていた。この時期やっていないということは、当分やる気がないのだろう。すごくいい場所なのに残念なことである。

とりあえずここでオニギリをいただいてエネチャージした。


ちょっとした資料館もある。


南側にはもう一つ展望台がある。随分と親切な公園である。


こちらの見晴らしは武甲山を真正面に捉えることができる。とてもいい。



さて、さんざん遊んだので帰路につくとしよう。展望台脇から降りる道があるのでそこをすたこら歩き進む。


帰り道も登りと同じ、延々と雑木林の間の細い道を下ってゆく。休憩場所も見晴らしも風景の変化もほとんどなく、ひたすら下ってゆくのみの道である。


調子に乗ってテケテケ降りてたら、いつの間にか両太ももが悲鳴を上げているのに気がついた。
うっ。ヤバイ。たかが標高差300mやろ、と思って舐めクサってたら結構マズいことになってるやんけ。


周囲に誰もいないのをいいことにしばらく後ろ向きに下りることを選択した。どうせ周囲に見るものなど特にないからいいのだ。


前向きになったり、後ろ向きになったりいろいろ騙しダマシしながら降りてきて、「もうダメかも…」と思いそうになる5秒前くらいで、


ようやくふもとの山里に降り立った。

ふう、助かった…


車道を歩いていたら、とおりがかりにおっちゃんに「ここをまっすぐ突っ切れば近道だよ」と教えてもらったのだが、足が既にガタガタになっていたので近道の危険を冒すことはできず、御礼をいってそのままなだらかな車道を歩いていくことにした。


ぬ?「和銅採掘露天掘跡」の幟が立っている。和銅って和同開珎やろな。行ってみようか。ということで脇道に入ってみる。

5分ほど歩いた先には


で、でかっ!
なんでも1300年前にここから産出した銅が時の朝廷に献上され、それをもって日本発の流通貨幣である「和同開珎」が作られたという、古代史上非常に重要な遺跡である。

だがこの場所自体は、ちょっとした小川があるだけで、掘削の跡とかはどれなのか良くわからない。さらにここから急な階段を上った先にも露天掘跡があるのだが、青白い泥に塗れた崖があるだけだったので、見ものとしてはそんなに面白くない。

それにしても、大和の朝廷からすれば雲煙万里の彼方であったであろうこの秩父の地にも、1300年前からきちんと政府の威光が届いていたというのはすごいと思う。



さて和同開珎を後にして、帰路の電車に乗るため和銅黒駅へ向かう。


レトロな佇まいの味な駅である。秩父線はこういう感じのが結構多い。


ホームにまでこんなものが。


以上、箕山でした。
登山道はやや単調ではあるものの、気持ちのいい雑木林を歩いて四季折々の花も楽しめ、頂上も綺麗に整備された公園で眺望も良しと、非常にポテンシャルの高い山であった。
ゴールデンウィークで激混みの高尾山とかに登るくらいなら、是非こっちをお勧めしたくなる山である。埼玉県、もっとプロモーションしなさい。

広葉樹が多いので、秋はきっとすばらしい紅葉が楽しめるだろう。11月〜12月辺りにまた是非登ってみたい。

気に入った!!