高尾山
こどもの日は高尾山に行った。
おととしは宝登山、去年も高尾山ということで、なぜかこの日は毎年山(つってもハイキングだが)に登っているようだ。
駅に着くとやはりかなりの人出である。しかし連休中ずっと天気がよかったせいか、観光客が集中した去年よりは混雑はマシと見える。
まずはルートの選択である。
去年は登りが六号路で下りが稲荷山コースだったので、じゃあ今年は稲荷山から登ってみるか、と入り口に向かってみたのだが、やはり小川のせせらぎとともに涼しく登れる六号路がどうしても恋しくなってしまい、結局去年と同じルートで登ることにした。
なんだかルーチン化してきてるな。歳のせいだろうか。
道沿いにはシャガという花が沢山咲いている。何でも中国原産の花らしいのだが、斜面に垂直に太い根をめぐらすので、表土の流失防止に一役買っているのだとか。
でもルックスはちょっと不気味な感じであまり好きではない。
びわ滝の脇に建つ修験道の道場。スタンプラリーのポイントでもある。
この道は二度目なのでどの辺で休憩するかはもう決めてある。川に面したちょっとした広場でおにぎりをいただいて一休み。
わかってはいても最後の階段はやはりキツイ。周囲の人も皆ゼエハアいいながら登っている。
頂上とうちゃーく!
のんびり歩いてもせいぜい1時間半。この手軽さが高尾山の魅力だろう。人は多いが、それでも去年ほどではない。雲が多く、富士山は残念ながらほとんど見えなかった。
この一杯が俺を何度でも蘇らせる。
お約束のとろろそば。今回は前2回とは違う店に入ってみた。
こちらは鶉の卵が入って差別化を図っているのかどうか知らないが、前の店のほうがよかった。
さて、今年も山頂ビジターセンターでプチ講義に参加する。今年のテーマは「フィールドサインを探せ!」であった。
フィールドサインとは、野山の野生動物が残すエサの食べ跡やフン、足跡などのしるしのことである。その姿は見えずとも、こうしたサインを見つけることで、どんな生物がどんな暮らしをしているか、想像ができるという寸法である。
これほど人が集まる観光地にもかかわらず、思った以上に野生動物が沢山暮らしているらしく、こういうのを探しながら歩くのもまた面白いもんだなと納得した次第である。
さて、帰り道だが、寂しげな稲荷山ルートは今回はパスして、一号路から降りてみることにした。一号路はさすがにメインルートだけあって、途中の観光スポットが一番充実しているのだ。
スポットの一つ、薬王院に来た。御本社の前には天狗像が祀られている。
こちらは大天狗。
そして小天狗。烏天狗ともいう。小さな銅像だが、なかなかに迫力のある造形である。
境内をうろうろしていると、坊さんが法螺貝を吹きながら列をなしてお堂に入っていく姿がみえた。
八大龍王堂の天狗面。天狗フェチにはたまらん聖地と見える。
大師堂のわきに並ぶ、88体のミニ大師像。台座の下には四国の各霊場の石が納められており、これらをお参りすることで、四国八十八箇所をめぐったのと同じご利益があるという、現代人にはとても嬉しい仕掛けが施されている。
さて、ミニ講義で教わった「フィールドサイン」とやらをオイラも何とか見つけてみたいと思って足元ばかりを見て歩いてきたのだが、それらしいものは何も得られず消沈していた。というか、葉っぱの食べ跡?的なものは沢山あったのだが、いまひとつ確証が得られなかった。
一つだけ、講師が「探してみてね」とお勧めしていたのがこれ。ムササビが巣にするのにおあつらえ向きな木のウロである。「運がよければムササビがちょこんと顔出してるのを見れるかもしれないね」なんて言うからしばらく見ていたが、どうもムササビ氏はご就寝中であったもよう。
参堂の脇に掲げてあった「十善戒」。まさに非の打ち所のない真理であろう。
そうこうしているうちに、俄かに雲行きが怪しくなってきた。パトカーが通りすがら「もうすぐ雨が降るので早めに下山してください」と触れてまわっている。
や、やばい!雨具とか何にも持ってきてないし!
焦って斜面を転がるように駆け下りる。こんなところで雨に打たれてはかなわん。
全面舗装で最も初心者向けの一号路とはいえ、やはり下りはキツイ。両太ももがガクガクしてくるが、ぽつぽつ降り出した雨から逃れたい一心で先を急いだ。
一時は結構な雨脚となったが、どうにか濡れ鼠にならずにふもとに下りることができた。やれやれである。降りた頃には大体雨も止んでいた。
スタンプラリー左半分も無事コンプリート。
そんなわけで一時はちょっと焦ったが、楽しく疲れた休日であった。