サイクレーゼで比企スタイル!?
山ネタが続いたと思ったらこんどは自転車ネタが多くなってきた。
ようは外で適度に身体が動かせて、あまり金がかからない一人遊び、ならなんでもいいわけだ。普段仕事やらバンドやらで他人と無理くりコミュニケーションを取るという苦行にさいなまれているので、休日くらいは誰とも話さずにすむ過ごし方をしたいと思っている。
というわけで今回は、埼玉の里山をお気楽サイクリング、としゃれ込むことにした。
まだちゃんとした自転車を持っていないので、家から目的地まで自転車でいくのは無理。そこで選んだのが、東松山市でレンタサイクルを運営している「サイクレーゼ」というNPO団体。
ここのポイントは、丸一日借りて1,000円と比較的リーズナブル、ネットで予約可、そして貸し出し自転車がよくあるママチャリでなく、ややスポーツよりのミニベロが置いてあるということだ。
貸し出し車はこれ。イオンバイクのブランド、「モーメンタム」のiThinkである。あのイオンかよ、と思うと少し嫌な気持ちもするのだが、このモーメンタムというのはマルキン自転車やコーダーブルームなどの本格的なスポーツ自転車も扱う日本のメーカー(ただし台湾GIANTの傘下)、ホダカの製品である。まあ、それなら悪いものではあるまい。
このiThinkは20インチミニベロで7段変速、Vブレーキも搭載しており、いちおうママチャリとスポーツ車の中間みたいな位置づけのマシンとなっている。ミニベロには興味があったので、小径車でどれだけサイクリングができるのか、試してみたかった、というのもある。
さて東松山駅に到着した。
田舎の小さな無人駅みたいなものかと思ったら、レンガ壁をあしらったえらくおしゃれな駅舎で驚いた。
駅前ロータリーもつい最近整備されたものと見え、とても広々として綺麗になっている。
どうしてレンガなのか調べてみたら、ここと姉妹都市関係を結んだオランダ・ナイメーヘン市がレンガ造りの街並みが美しいらしく、それにあやかったとのことだ。
ナイメーヘンでは世界最大のウォーキングイベントを開催することで有名なようで、ここ東松山もウォーキングで町おこし、を目指していろいろやってはいるようである。
さて、駅から10分ほどあるいたところに、レンタサイクルの拠点「サイクレーゼ」がある。
通りからレンタサイクルを示す幟は見えたが、どこでやっているのか解らず喫茶店の人に尋ねてみると、裏へ回れという。
言われるがまま、裏の作業場みたいなところに進んでみると、
これか。って、無人!?
なんか想像してた感じと違ってえらくラフな佇まい。予約の人は勝手に乗っていってください、みたいな雰囲気なのだが、もちろん鍵はかかっているので、どうしたものかと途方に暮れていると、どこからともなく女性が現れて、「はい、鍵は**番ね、終わったら勝手にもどしといてくださいね,あ、お会計1,000円ね」とこれまたフランクな対応でさっさと引渡し完了。女性は忙しい合間を抜けてきたのか、そそくさとどこかへ消えていった。
まあいいや。とりあえず目的のブツはゲットした。
iThinkさん。しばらく、よろしくたのんます。
早速サイクリング開始。東松山にきたら、何はなくとも押さえておきたいスポットは「吉見百穴(ひゃくあな)」である。駅からほんの1kmほどの距離にある、古代の墓穴跡である。
とその前に、駅前のしまむらで帽子をゲット。さすがに暑いので被り物ナシはつらい。
道すがらにある「ウォーキングセンター」なる道の駅みたいなところに寄ってみた。いろんなウォーキングのコースマップが沢山ならべられている。
さらに進むと、凝灰岩でできたらしき岩山が目の前に現れる。
かなり渋い山門が建てられており、いかにも中に由緒正しき神様か仏様がおわっしゃるかのような佇まいなので、とりあえず自転車を降りて中に入ってみると。
中はグチャグチャの崖に木が鬱蒼と茂るジャングル。左側にある鎖がいかにも「ここから登れ」と誘うようなので登ってみたが、結局真ん中の崖に戻ってくる道だった。
さらに掻き分け掻き分け進んでみようとしたが、上にいくほど手入れがされておらず、ろくすっぽ道もなし。どうみても観光スポットではない。ふと振り返ると、大人の親指ほどもあるスズメバチが一匹、ぶぅぅぅんとホバリングしているのが目に入った。
こりゃたまらん!逃げろ!
蜂を刺激しないように静かに、しかし転げるように慌てて逃げてきた。スズメバチだけは洒落にならん。
気を取り直して、メインの吉見百穴へ。
ここはとてもきれいに整備された公園になっており、軽食がとれる売店なども完備している。お弁当なんか持たずにここで食べることにしておけばよかった。
岩山の下部には、大東亜戦争中に兵器工場として使われた横穴があり、一部公開されている。中に入るとひんやり涼しい。
中はものすごく広い。これでも公開エリアは全体の半分もないそうである。
吉見百穴の見所のひとつ、天然記念物のヒカリゴケ。小さな穴の中に自生するコケだが、覗いてみると確かに仄かな光を反射して光って見える。
岩山の壁面という壁面が穴ぼこだらけである。
さて、お目当ての吉見百穴は満喫したので、さらにサイクリングを続けるとしよう。
市野川沿いの桜堤を北に進む。近くに射撃場があるらしく、大きな破裂音があたりに響き渡っていた。
国道407号に出て北に進み、さらに西へ向かうと、武蔵丘陵森林公園に至るサイクリングロードに乗ることができる。これをそのまま3kmほど進むと、
第二の目的地、森林公園に到着!
ここは公園内に全長17kmの本格的なサイクリングコースが整備されているので、森林浴がてらここを走ってみるというのがもう一つの目的だったのだ。
自転車はもちろん持ち込みOKなので、入場料410円を支払ってそのままiThink号を連れて中に入る。
サイクリングロードは完全一方通行で歩行者道と区別されており、気持ちのよい森林のなかをストレスフリーでサイクリングできる。適度なアップダウンや急カーブもあり、変化も楽しめる。子供や家族連れも沢山きてのんびりと楽しんでおり、正直、ここはかなりお勧めできる。
随所に設けられた休憩スポットも気が利いている。
中央口から入ってぐるりと西口に廻って、そのまま帰路につこうかと思っていたのだが、面白くてついまるまる一周して中央口まで戻ってきてしまった。さすがにサイクリング初心に17kmのコースはなかなかの手ごたえ。お尻も痛くなってきた。
ところでミニベロiThink号の乗り心地はというと。
さすがにそこらのママチャリよりはよほど軽快に走れる。でも、いまひとつ期待していたようなスピード感はなかった。ま、そこはスポーツ車ではないからしょうがない。
なにより、ギアの6段が何度やってもはまらず、レスポンスの悪さに辟易した。コンポがTournyというせいもあるのかもしれないが、おそらくは整備の問題だろう。
ともかく、もう16時近いので帰り道につかなくては。返却予定時間は17時である。
公園の中央口を出て250号を南下し、47号に合流すると、そこは駅から森林公園へとつながる緑道になっており、自転車路も整備されている。
途中の東屋で一休み。もうすぐiThink号ともお別れだ。
と、そんなこんなで無事東松山まで戻ってきた。
サイクレーゼに行ってみるとやはり無人で、伝言板に「勝手に自転車おいてお帰りください」みたいに書いてあったので、そのとおりにした。
東松山駅に戻ると、なんとも喉が渇いてくる。そういえば、ちょっと小腹も空いてきたな。。。
誘惑に負けた俺は、駅前の焼き鳥やでこの地の名物らしい、味噌だれ串焼きをいただくこととした。
注文したのは、埼玉県産黒豚を使った、特上・焼きとん串である。ジューシーで味わいの深い肉に、甘辛い味噌ダレが絶品である。じゅるる!
この一杯が何度でも俺を蘇らせる。
結局、この日のサイクリングコースはこんな感じ。一般道で約17km、森林公園で17kmの合計34kmのエクササイズであった。
初心者にしてはなかなか頑張ったといっていい。お尻痛くなったけど。
サイクレーゼは自転車もわりとまともだし、森林公園も魅力的。また機会があれば利用したい。