読書メモ

・だから皇室は大切なのです-日本人と皇室(草思社篠沢秀夫

学習院で教壇に立った著者が、昭和天皇、今上陛下を始め皇族方と接した経験を交えながら、万世一系、万邦無比な皇室という存在について語る書である。
篠沢教授、といえばもちろんあのクイズダービーの迷?回答者。こんな国保守思想をお持ちの方とは知りませんでした。

この本では、「日本はいつできたのか」という問題についても考察が及ぶ。
氏によると、日本初の正史である日本書紀が成立した720年こそが、一切の疑念を挟む余地のないまごうかたなき日本建国の年とみなすべき、だそうだ。
別に皇紀元年、紀元前660年元旦でよくね?とも思うのだが、根拠が薄いとかぎゃあぎゃあ喚く輩がいるから、仕方なくこんな説を唱えているのかもしれない。

面白いのは終戦という用語遣いについて。俺は終戦というのは日本の敗戦を糊塗し、戦勝国に恨みを残さぬために占領軍や戦後派が考え出した用語ではないかと漠然と感じていて、終戦記念日という言葉にもなんとなく抵抗があった。篠沢教授も同じように感じていたらしいが、敗戦直後の新聞記事等からこの用語の出現を調べたところ、占領軍によるWGIPが始まる前からすでに政府、皇室周辺で使われはじめていた言葉らしいということだ。

であるならば、終戦という言葉には当時の指導層やもしかしたら昭和天皇の、戦い敗れて恨み残さず、前向きに復興に取り組もう、という気持ちがこもっていたのかもしれない、と考えてもいいのかもしれない。

負けは敗け。ノーサイドということか。