アベノミクスの成果?? その2

つぎ。


■賃金

賃上げ率は、過去15年で最高(2.07%)


これはソースがはっきりしない。
一応、厚労省が公表している「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」というのがあるのだが、これによると26年は平均2.19%なのである。なんでいい方の数字を使わなかったんだろう?


試しに「賃上げ 2.07%」でググってみると、「連合東京」の調査ページがヒットする。

これによると、「5,442組合 2,689,495人の加重平均で5,928円 (1,062円UP)引上率 2.07% (0.36%UP)」とある。


よくわからないが、厚労省の調査は大企業のみの314社しかサンプルがないので、そこを突っ込まれないように、敢えて連合の数字を拝借したのかもしれない。



で、ゴニャゴニャ言っといてアレなのだが、この「第二の成果」を批判するには一言で足りてしまう。


消費税で3%上がってんだから、2%台じゃマイナスじゃん。


おわり。


‥ああ、いけない。もう少し考えてみよう。

2014年春闘の結果というのは、基本的には2013年度中の業績が反映しているものと考えられる。

2013年はアベノミクス初年度。大胆な金融緩和と円安により株価が大幅アップ。財政出動もちょっとはやった。
これにより同年は実質2.2%、名目1.9%GDP成長率をあげている。この成果により、2014年の賃上げが(額面は)好調だったのはある程度納得できる。


やはり問題は消費税、つまり2014年4月以降の話である。今年の業績が来年の春闘に反映することを考えると、どうなるかはかなり不安である。

結局、賃金に関する問題は、消費税増税によって物価が強制的に引き上げられてしまったため、実質ベースで言うと去年と今年は全く状況が異なっており、現時点でどう、とはなかなか言えないのである。


とりあえず今現在でマイナスだね、としか言えない。2.07%でも2.19%でもいいが、少なくともそんなに喜べる数字じゃないよね、と思うべきだろう、普通は。


ちなみに、3%→5%への増税をした97年の賃上げ率は2%を超えているから、とりあえず最低限、トントンは維持していたと言える。


名目賃金が低下している状況で消費税を上げると、いくら春闘で頑張っても結局マイナスになってしまうという好例であろう。


ところで、4月以降の業績がまず反映するのは冬のボーナスになろうかと思うが、こちらはどうだろうか。まだ今年の年末のボーナスについては統計が発表されていないのでよくわからないが、みずほ総研がこんなレポートを発表している。


「民間企業のボーナス支給額は前年比+2.2%と2年連続の増加を予測」

やっぱり消費税増税分すらカバーできてないから、結局前年比実質マイナス。でもこのレポート、そんな実質値は無視して「2004年以来の高い伸び」なんて嬉しそうに書いちゃってるなぁ。わかってるのか?



そうそう、みずほ総研といえば、11月に7〜9月期のGDP速報が発表される直前、余りに願望盛り過ぎなデタラメ予測を出して失笑を買った、あそこである。


エコノミストという肩書きが、単なる御用コメンテーターに過ぎないことを世間に知らしめた一事ではあったが、そんな御用聞き芸人の妄想レポートなんか鼻クソほじって読むくらいが丁度いいのかもしれないな。


ことのついでだ。このみずほ総研の高田氏というチーフエコノミスト(笑)が、2013年8月の消費税増税についての「集中点検会合」で提出した資料を晒し上げしておこう。


政府もメディアも、ここまで見事に予測を外したエコノミスト(笑)の意見なんか、当分求めるべきではないと思うな。


あ、脱線した。