皇居一般参賀に行ってきた!

今年は久しぶりに地元で新年をむかえたので、それならばと1月2日の皇居一般参賀に行くことにした。

にわかネトウヨの俺のことだから、もちろん参賀は初めてである。


さて、雲ひとつない抜けるような青空と暖かい日差しの中、皇居へ向かう。
現場は相当な混雑と待ち時間が予想されたが、一日五回のお出ましがあるので、午後イチのお出ましあたりをターゲットに、皇居前に着いたのは11時半ごろであった。


二重橋の正門前は大変な行列と、先に参賀を済ませた帰り客とでごった返していた。
皆、手に手に日の丸の小旗を持っている。
これは「国旗協会」という社団法人が、社会奉仕として無料で配っているものだ。

俺ももらったが、あまり作りはよろしくない。妙に赤丸が大きいし、センターもずれている。持参の旗を持とうかとも思ったが、周囲の和を乱すのも本意ではないので、おとなしくこの紙旗を使うことにした。


皇居前から見えるビル群。宮城を見下ろすような配置はどうかとは思うが、それでも真っ青な空を背景になかなか壮観ではある。


周囲には結構外国人も多い。
白人はすぐそれとわかるが、声を聞くと隣にいた人が中国語だった、なんてのもザラであった。
日本人ですら首都圏に住んでないとなかなか体験できない貴重な機会であるから、東京旅行のハイライトとしては悪くないであろう。


苑内に入るにはもちろん荷物チェック、ボディチェックが厳重に行われる。


そしていよいよ正門をくぐって皇居内に入る。美しく整えられた植栽、櫓の白壁、聳える石垣、レトロな橋の灯篭などといった景観は、流石宮城と思わせる美しさ。


そして二つ目の門をくぐり、お出ましの舞台となる長和殿前の広場に通された。


ここはかなりの広さがあるが、およそ2万5千人ほどが入れるそうだ。
だがぎゅうぎゅうに詰め込むというほどでもなく、各人しゃがむくらいのスペースはある。


今か今かとお出ましの時を待つ。
午後イチの回を目指していたが、ここまで来るのに並んでから一時間以上を費やしていたので、結局14:30の回となった。


気候が良いので寒くはなかったが、流石に立ちっぱなしで1時間待ち続けるのはなかなか堪える。まあ、世界で唯一のエンペラーのお目にかかろうというのだから、この程度のハードルで済むなら安いものだろう。



そしてついにお出ましの刻が来たー!


ガラス張りテラスの中央奥の引き戸がすうっと開き、天皇皇后両陛下と皇族方がお出ましになる。

うち振られる小旗。紙なのでバサバサという音で広場が溢れる。
広場のあちこちから、天皇陛下、ばんざーい!!」という声が起こる。


俺も万歳したかったのだが、周囲にバンザイする人がおらず、ちょっと大きな声を出しづらかったので諦めて旗を振っていた。…ヘタレと呼ぶなら呼ぶがいい。

この回にお出ましになったのは、天皇皇后両陛下と、皇太子殿下・雅子妃殿下、秋篠宮殿下・紀子妃殿下、そして眞子内親王殿下である。


皇族方がひとしきり参賀客にお手を振られたあと、アナウンスがあり陛下のお言葉を捧戴する。

旗をうち振る音はピタリと止み、打って変わって静寂で厳かな場となった広場に陛下のお言葉が響き渡る。

ここには書かないが、お言葉はとてもシンプルでありながら、国民への愛情に満ちた優しさ溢れるものだった。

これほどまでに全ての私利私欲を投げ打って、真に国民ためを思うお言葉をかけることができるのは、天皇というご存在をおいて他にあるまい。


お言葉が終わると、また万歳の声があがり、旗がバサバサと振られる。皇族方はそれに応えて笑顔でお手を振られている。


こうして初めてお目にかかってみると、本当に本物の貴人というのはやはり身に纏うオーラが全然違う。テレビではこの厳かなオーラは全く伝えられていないんだな、と実感した。

戦前は「現人神」と呼ばれていたそうだが、比喩でもなんでもなく、本当に「神様みたいな人」に、お目に掛かれたわけである。ちょっとこの感動は文字ではあらわせないな。


さて、恍惚のひと時もあっという間に終わり、出口の坂下門へ向かう。

大勢でゆっくり、ぞろぞろと歩いてゆくのだが、そんな時、自分の横で歩いていた30前後と思しき男女連れの会話が耳に入った。


男「バンザイとか、言う人いるんだねー」
女「うーん、右翼とかそんなんじゃない?ちょっと怖いよね」


俺は目眩がしそうになって、同時にちょっとムカッときたので彼らに一言言い返してやりたくなった。

「あの場で陛下に向かって掛ける声に、『万歳』以外に相応しい言葉があるのかね?万歳を叫んでいるのは右翼でも変な人でもなんでもない、普通の国民ですよ」

…喉まで出かかったが、結局そのまま飲み込んでしまった。ヘタレと呼ぶなら呼ぶがいい。


一般参賀に来るような人ですらこの程度の認識だったりするのである。
まあ、俺も学生の頃はこれと似たようなものだったからあまり責められたものではない。


思えば、怪しげな街宣車で軍歌を大音響で鳴らし、国旗や旭日旗を穢して街中を騒がせる似非右翼たちの目的は十分過ぎるほどに達成されていると言わざるを得ない。
彼らのおかげで、愛国心を語ること、バンザイを叫ぶこと、さらには国旗や旭日旗を掲げることが「怪しげなこと、怖いこと」であるという刷り込みが随分浸透してしまった。

俺だってその刷り込みから完全に脱したとは言えない。とても残念なことである。


いつか、大きな声で胸を張って
天皇陛下、万歳!
と言える日が来ますように。