【映画みた】連合艦隊司令長官 山本五十六

★以下、ネタばれです★

12/21より封切られた永遠の0が話題になっている(俺の中で?)ようだが、大東亜戦争つながりということでレンタルしてきた。

とかくこの手の映画は反戦サヨク思想に汚染されていたりするものも多く、戦争の悲惨さばかりが描かれたりするので、作品選びには慎重にならざるを得ないが、これは前田有一の超映画批評でも好評だったので気になっていたものだ。


さて作品は日独伊三国同盟から開戦、そして五十六がブーゲンビルに散るまでを山本五十六の視点で描いたもの。

もちろんフィクションに過ぎないが、当時の状況、雰囲気はわりと正確に押さえられているんじゃないかなと思う。

五十六を主人公としているので、ほぼ彼の扱いは「苦悩する聖人」のようなもので、失敗や敗北はほぼ彼の部下や無能な上司のせいにされる、という話の流れになっている。

まあ本当のことはわからないけども。


特に悪役にされているのは、軍令部総長永野修身である。真珠湾攻撃、ミッドウェーと続く詰めの甘さ、読みの浅さは、現場を知らない永野が裏で南雲中将の糸を引いていたから、という解釈である。
その南雲司令官も、山本に艦載機の半分は雷装しておけ、と命令されたにもかかわらず、これを無視して大敗北の一因を作る。

総指揮官の命令を無視した理由というのが、傍に立つ参謀の根拠のない進言以外にない、というのが如何にも苦しい。

山本の無謬性を強調したいばかりに、全体的に言い訳めいているというか、強引な展開が目についた。


まあそこはフィクションだからいいとして(永野や南雲の子孫なら言い返したいこともあろうが)、娯楽としては充分に楽しめる内容。
悲劇の結末しか待っていないことは先刻承知だが、零戦で奮戦する飛行隊の活躍などは、本当に「頑張れ〜!!」と応援したくなってしまう。下手すりゃそこで操縦桿を握っていたのは俺の爺ちゃんだったかもしれないのだから。

攻撃を受ける真珠湾の様子も、CGとしては違和感も無く良く出来ている。


さて、全編を通してクズ野郎扱いなのが新聞社の論説主幹役の人物。
国民の意思を代表するかの如き奢りと傲慢、事実を隠蔽して国を誤った方にしか導かない。
散々開戦を煽り、「大本営発表」を捏造し続けたこの男が、ひとたび敗戦となるや、「これからは民主主義だ!!」とばかりに見事なまでの変節ぶりを見せつける。まさに外道


日本の新聞メディアのやっていることは、今でも全く変わりない。
この映画は、そうした歪んだメディアの横暴に対しても、強い批判を投げかけている。


そんなわけで、楽しく観戦した。
しかし、山口多聞少将役が阿部寛、というのは流石にキャスティング無理ありすぎでは?と、一応突っ込んでおく。かっこよかったからいいけど。