参議院選挙が終わって

7月21日、参議院選が終わった。

俺は選挙区は地元の自民党候補者、比例区自民党赤池に投票をした。


結果としては自公あわせて参院でも過半数を獲得、安倍自民は長期安定政権となる可能性が出てきた。
まあ、結果としてはあらかじめ予測されたとおりであり、過半数はとれなかったもののおおむね望む結果がでたと言って良いだろう。


とはいえ、去年12月の衆院選後のような高揚感は特にない。どちらかというと、これからの行く先については不安のほうが日増しに高まるという状況である。


一番不安なのは、この秋にその実行の是非が決められる消費税増税である。民主党が決めたこの消費税増税法案について、俺はこれを絶対に阻止して欲しいという願いを込めて衆院選参院選で票を投じた。
しかし、消費増税法案は民主党だけでなく、自民・公明も加わった三党合意によるものである。真に消費増税に反対し、これを投票に反映するなら、共産党くらいしか選択肢がなかった。
自民党は、従来から消費税増税そのものは推進の立場であり、あとはその実行のタイミングが問題であった。安倍総理、麻生財相であれば、景気の状況を適切に鑑みて増税延期を決定してもらえる、と期待していたが、これもどうも最近は雲行きが怪しい。


二つ目はTPPである。もちろん俺はTPPは絶対に反対である。自民党は6項目の条件をつけて交渉に臨む、としていたが、これもいつの間にか「5品目の聖域」に話が摩り替わってしまっているようである。俺はTPPはその思想そのものに大いに問題があると思っており、関税の聖域5品目を守れればいい、というものではない。
しかし安倍総理は既にTPP参加を表明し、初交渉も7月23日に開始された。案の定、ろくにガチンコの交渉ができるような状況ではなさそうに見える。


三つ目は構造改革への胎動である。産業競争力会議とやらに竹中氏をはじめとする新自由主義者や三木谷氏のような政商が入って跋扈している。安倍総理も最近は「第三の矢」ばかりを強調しはじめた。俺としては、「第二の矢(財政出動)」はいつやったの?と思う。金融緩和と財政出動をセットやろうというのがアベノミクスの最大のキモだと認識していたが、第一はともかく第二のほうは何だかおざなりなまま、一足飛びで「第三の矢(成長戦略)」に進もうとしている。
しかも、その成長戦略として漏れ聞こえるのは、規制緩和など「構造改革」チックな物ばかり。デフレ脱却もままならない状況で、デフレ抑制策を角突合せて議論しているはどういうことなのかと思う。


以上の3つは、いずれも俺が民主党政権において最もいやだった政策であった。自民党に政権が変わることで、これらも方向転換してくれることを期待してはいたが、いまのところ、これらに関してはほとんど民主党とやっていることは変わらない。
もちろん、まだ消費税増税は決まっていないし、TPPは交渉段階だし、構造改革的な法律も成立されているわけではない。(発送電分離につながる法律は国会のゴタゴタのせいで成立を免れたが…)
いずれの課題も、安倍総理はじめ政府周辺はあまりはっきりした態度は示さない。選挙期間中もこれらについてどうする、ということはほとんど口にしてこなかった。


有権者の最大の意思表示である選挙はもう終わってしまった。これから最長3年は次の選挙がない。俺の一票が、これらの懸念をまるごと実現してしまうことに力を貸してしまったことにならないか、それが不安である。


だからといって、今回は他の党に投票するような余地は考えられなかった。民主党は論外、共産党のような反日テロリストが豚の皮をかぶったようなものも早く国政から消えてほしかった。維新みんなは党首がゴリゴリの新自由主義中山恭子氏のような個人的には応援できるも候補いたが)、みどりの何チャラとかいうのも論外。
上記三つの懸念を払拭し、かつ日本の政治を前に進めてくれそうな政党は他に見当たらなかったのである。


残念といえば残念だ。
ってか、何で反日テロリストとか中韓スパイみたいのが国政選挙に出てるんだよっっっ!!


一方で、安倍政権に期待できる部分も多い。とくに積極的なアジア外交は素晴らしいと思っている。対米関係はTPPや中国との関係もあり舵取りが難しそうだが、アジアにおけるプレゼンスを高めるための足場を着々と築いていると感じている。
景気もこのまま行けば回復軌道に乗れそうな兆しが見えている。消費税が大きなハードルではあるが、株価をここまで押し上げただけでも十分価値があると思う。
国防に関しても、マスコミの執拗な攻撃をかわしつつ一歩一歩必要な手を打っていると思われる。尖閣に関してはもう少し強い態度が必要と思うが、島を中国にプレゼントしかねなかった民主にくらべればまあマシなところだろう。


去年の衆院選の前は、安倍自民が衆参で過半数さえとれば、何もかもうまく行くような気がしていた。しかしもちろんそんなことはないわけである。
これからが本当に大変な時期を迎える。もう投票という最後の武器を失った我々は、政治に対してどうやって声を届けていくかが重要になってくるだろう。


別に死ぬわけではないのだから、気にしないでのらりくらりやってりゃいいんじゃん?なんて甘い囁きも時折聞こえる気がする。


が、やはりそういうわけには行くまい。これからも不安な日々を重ねつつ、できることをやっていくしかないわけである。
いやはや、政治というのは大変なものである。