TPP:地元議員への意見書

TPP交渉参加に向けての動きが不穏である。
俺はとりあえず、地元選出の衆議院議員へFAXで意見書を送ることにした。
以下その文面である。

○○○○先生への意見書

平成25年○月○日

拝啓
 私は、○○○○市在住の、○○と申します。突然の不躾なFAXをお送りすることをお詫び申し上げます。
 ○○先生には、いつも日本のため、私たちの地域のためご活動いただき、心より御礼申し上げます。普段なかなかお目にかかる機会はありませんが、ブログなどで先生のご活躍を目にするにつけ、非常に頼もしい思いでおります。

 ところでこのたび、私の意見として先生に一言申し上げたく、失礼を顧みずこうしてFAXをお送りさせていただくことといたしました。
 安倍総理をリーダーに据えた自民党は、その「アベノミクス」経済政策の的確さ、対アジア外交におけるしたたかさ、テロ対策などにみる行動の素早さなどで、前民主党政権とは比べ物にならない安定感、安心感と期待感を抱かせ、現状では順風満帆の船出といって差し支えないと存じております。

 ところが、ここにきて俄に話題に上ってきたTPP問題に関する安倍内閣の動きには、大きな不安を禁じ得ません。自民党は、交渉参加の条件とする6項目をかかげ、これを先の衆院選においても公約としておりましたが、先日の安倍総理訪米のおり、日米共同声明を発することにより、基本的にこの6項目については交渉の余地があることが判明し、事実上、TPP参加交渉への道は開かれてしまったものと思います。

 私が自民党を支持するのは、何よりも貴党が日本の主権を守る、「日本らしさ」を守るということを確実に実行していただける政党であると確信していたためであります。○○先生の基本政策にも、「民主党政権で揺らいだ日米関係を再構築して抑止力を図り、わが国の主権に対する干渉を防ぎます。 」とありました。私は、民主党政権によりズタズタにされ、崩壊寸前まで追いやられた日本の主権、国家としての矜持を、自民党ならば、○○先生ならば取り戻していただけるものと信じて、一票を投じたものです。

 しかし、政府が推し進める(安倍総理のTPPに対する真意はいまだ明らかではないにせよ)TPP交渉参加への動きは、こうした私の期待に大きく反するものです。
 あえて先生に申し上げるまでもないことかと思いますが、TPPは、関税の撤廃による経済的損失のみならず、日本国民の主権を損なう恐れのある、非常に危険な外交交渉であると考えます。TPPの基本的理念は、「加盟国間で、域外に対する競争力を強化するために、自由競争の妨げとなる関税や非関税障壁を撤廃し、経済的な国境をなくすこと」を主柱としているとのことです。そのため、原則としてあらゆる関税や非関税障壁が撤廃の対象として交渉のテーブルに乗せられます。

 このことは、我が国が日本国民のために長い年月をかけて作り上げてきたルールや慣習を、日本国民の手で決めることができなくなる恐れがあるということを意味しています。交渉により撤廃が決められたルールについては、日本の国内法を変えて対応しなくてはなりません。事実、米韓FTAを先に締結した韓国は、協定遵守のために多くの国内法を改正しなくてはならなくなりました。そうして撤廃されたルールの中には、環境や食の安全などといった、国民の生命や財産を守るために自国で決めたものも含まれています。

 このように、外国との条約は国内法に優越します。まさに文字通り、日本国民の主権を海外との外交交渉の結果次第にゆだねることになるのです。TPPがその議題としている作業部会は製造・サービスから金融にいたるまで、24の項目に亘ります。ほぼ、国内のあらゆる経済活動が外国からの圧力にさらされることになります。

 私は、日本国内の独自のルールにもさまざまな問題点があると認識しています。農業は衰退の一歩をたどっています。少子化への対応も検討が必要です。既得権益に守られたマスメディアは大幅な構造改革を行うべきと考えます。

 しかし、それら日本が抱える課題をいかに解決するかは、我々日本国民が、自身の手で成し遂げていかなくてはなりません。そしてその手段は、あくまで民主的な手続きにより行わなくてはなりません。私たちが選挙によって議員先生を選び、その意を受けた先生方のお力で一つ一つ法律をつくり、改革を進めていかなければならないのです。当然、時間はかかると思います。しかし、民主主義とはそもそも面倒で時間のかかる手続きであることを承知しています。

 TPPはこうした手続きを無視し、単に外国との障壁をなくすという理由でいやおうなくルールの変更を迫ります。これは民主主義の否定であり、暴挙であります。グローバリズムにより国のあり方が決められてしまうのであれば、もはや議員の先生方の存在意義すら失われてしまうでしょう。

 自民党は、平成22年綱領においてこう宣言しています。「日本の主権を危うくし、「日本らしい日本」を損なう政策に対し闘わねばならない。」TPPこそは、この宣言の趣旨に真っ向から反する極めて由々しき政策であります。私は、○○先生をはじめ自民党の先生方には、この綱領の趣旨に則り、TPPこそは日本の「敵」であると認識し、交渉参加も含めた断固反対の立場で闘いを貫いていただくことを希望します。

 今、自民党内には「TPP参加の即時撤回を求める会」というグループが結成され、活発に議論が交わされていると聞きます。会員数も日増しにふえ、現在240名を数えるとのことです。私は、この名簿の中に、私達の代表である○○先生のお名前がないことを、非常に残念に思います。私は、○○先生の「主権、領土を守る」という強い決意に嘘はないと信じております。だからこそ、今その主権が脅かされる危機において、先生にも是非とも立ち上がっていただきたいと望むものです。


 以上、若輩からの失礼な物言いにつきましては、平にご容赦をお願いいたします。
 ○○先生のこれからのさらなるご活躍をお祈りいたしております。近々、先生のお目にかかれる日を楽しみにしております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
敬具

手短にまとめようとおもったが、ついつらつらと書いてしまって、A4用紙3枚になってしまった。こんな文書を送りつけられたほうもいい迷惑だろう。

次は実家の選挙区の議員にも送る予定である。