プロパガンダの事例

ついに総選挙が公示された。日本の運命を決める、かつてないほどに重要な選挙であることは間違いない。
ところで公職選挙法の問題で、ブログなどでも支持政党や議員の名前を書くことは「限りなくブラックに近いグレー」にあたるそうなので、俺も直接的な表現は注意して避けようと思う。

ところで、数日前にこんなニュースが報じられた。

原発9社に社員兼議員99人 91人は電気料金から給与

原発を持つ全国の電力会社9社に、現役社員のまま地方議員になっている「社員議員」が99人いることが朝日新聞の取材でわかった。うち91人は議員報酬とは別に会社から給与を受け、さらに関西電力東北電力など6社の52人は議会活動で会社を休んでも有給となる「特例」を受けていた。議員への給与は電気料金に含まれており、市民が活動を支える構図になっている。
朝日新聞、2012年11月25日13時54分】

このニュースは同日のNステでも放送していた。たまたまテレビをつけていたので、これを見たカミさんが「ひどーい!」と思わず口にするのを聞いた。

ちょと待てーい!


非難の声をあげるまえに、この事実のどこが問題なのか、よく考えるべきである。

まず第一に、地方議員の兼業は、違法でもなんでもない
そもそも、議員とは選挙で落ちてしまえばその瞬間に無職となってしまう不安定な職業である。むしろ小規模な自治体においては、兼業が普通である。

第二に、どういう出自であろうと、公正な選挙によって選ばれたのが議員である。何か問題があるなら選挙で落とせばいい、というのが民主主義の原則。電力会社に在籍中だからという理由でその議員の地位を問題視するというのは、民主主義を否定するに等しい。議員一人ひとりの資質がどうかはまた別の問題である。

第三に、99人という数字である。「そんなに!?」と一瞬思うかもしれないが、全国の地方議員がどれほどいるというのか。wikiから数字を取ると、都道県議会議員・市区町村議会議員あわせてざっと37,000人である。全議員のうちたったの0.3%だ。何か問題が?

もちろん個別の議会においては、そのような電力会社出身の議員が多数を持っている場合もあるかもしれない。だがそれにしたって、その地域住民の支持を得たから議員となっているのだ。
場合によっては、電力会社の企業城下町のような地域もあるだろう。地域住民の多くが電力会社の職員または関係者、というようなことも考えられる。その場合、地域住民の意見や要望を反映する代表者として電力会社の関係者が議会に立つのは当然のことである。

要するに、個別に見てみないかぎり、「それが何?」というニュースでしかないのだ。

ところが朝日は、この何でもない事実をあたかも電力会社が悪事を働いているかのごとく、言葉の端々に悪意を込めて報じている。こういうのを恣意的な報道というのだ。何がどう問題なのかちゃんと書いてみろ。



ともあれ、これ自体はまあ事実といえば事実だから、百歩譲って可としよう。問題はこのニュースをネタにさらに世論を誘導しようとするその卑劣な手口にある。

Nステでこのニュースが流れたとき、その直後に「電力の自由化・発送電分離の特集をやっていた。
あきらかにそうは言わないが、あたかも電力会社が自社の利益を守るためにインフラを独占し、不当に利益をむさぼっていると暗に仄めかすような報じかたであった。

「電力の自由化・発送電分離」の是非についてはいろいろ検討すべき課題がある。電力は安ければいいのではない。安定・安心・安全・公平という、可視化しにくい品質の問題がある。自由化によってそれらは守られるのか。また、これによって電力料金が低下するというならまだしも、そうはならなかった事例が既に海外で明らかになっている。
「電力の自由化・発送電分離」は、良い点もあるのかもしれないが、悪い点もかなりあると言わざるをえない問題なのである。

しかしNステ・朝日は、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」という放送法の規定を無視して一方的な報道を行っただけでなく、先に電力会社に対し悪印象をもたせるようなニュースを流すことで、視聴者の印象操作を行い、自らの主張を有利にしようとしたのである。
あきらかに意図的なプロパガンダだ。悪質かつ卑劣なことこの上ない。

今回はたまたまつけていたTVでこういうことをやっていたので気がついたが、おそらくこの程度の印象操作、プロパガンダ日常的かつ常習的に行われているであろうことは想像に難くない。
そして残念なことに、大多数の人はこの洗脳に対する抗力がないのである。日ごろマスゴミと呼んでマスメディアのプロパガンダに警戒心のある人たちですら、電力会社は悪者である、というような言い方をするのを多く見かける。

原発事故であきらかになった東京電力の経営や管理体制に問題がなかったとは言わない。が、だからといって電力会社そのものが悪と決め付けるのは短絡にすぎるのである。

果たしてマスコミは自分たちがやっていることが悪い事であるという自覚があるのか?マスコミが事実を捻じ曲げ、大衆を恣意的に煽動することで、日本はこれまで数多くの誤った選択をしてしまった。


恥を知れ!マスゴミども!
お前らこそ日本国民の敵だ!