こどもの日、高尾山

GW中日の5月5日、天気予報がよさそうだったので、高尾山に登ってみることにした。
そういや、去年のこの日は長瀞宝登山に登ったなぁ。

高尾山といえば、小学校の遠足のときに登ったのが思い出深い。帰ってからの授業で遠足の感想を書ことになったとき、よほど楽しかったのだろう、筆がノリに乗ってしまって京王高尾山口駅につくまでの経緯だけで原稿用紙10数枚を費やしてしまい、さてこれから本番の登山シーンだ、となったところでタイムアップ。肝心の登山の様子がほとんど書けず悔しかったのを覚えている。

まあ別にいまそのリベンジをしようというわけではない。

GW後半はなかなか天気が優れなかったせいもあり、この日は満を持した観光客が近場で便利な高尾山に押し寄せてくるだろうという予想はあったが、高尾山口の改札は案の定、このとおりだ。



朝の新宿か?

この程度でめげるわけには行かないので、早速登山口へ向かう。ところで高尾山の登山ルートは幾つかあるのだが、前回カミさんと登ったときは登り:一号路、下り:稲荷山ルートのプランだった。
一番人気の一号路は大混雑で渋滞し、たびたび足を止められることが予想されたので、今回はそれよりは少しマイナーそうな六号路から登ることにした。



これが六号路入り口。修験道の道場に通じているらしい。

この道はほとんどが山を流れる川沿いのルートとなっており、見晴らしこそないが、常に川のせせらぎとともに歩くことができる、涼しくて気持ちのよい散策が楽しめるところだ。人もまあまあ多かったが、一号路ほどではない。この道を選んで正解だったようだ。



六号路の見所のひとつ、琵琶滝の修行場。時折、「エイヤッ」と修行者らしき人の荒々しい声が聞こえてくるが、観光客からは姿が見えないようになっていた。修験道といえば基本的には仏教系と思われるが、なぜか神道的な紙垂が下がっている。この辺は長い歴史の中で両宗教が少しずつまじわっていった名残なのかもしれない。



ところどころ、川端におりて休憩できるスポットがあるのもいい。水は冷たくて清冽、触ってとても気持ちのいいものだ。



時折あらわれる橋で川をまたいだりしながら、それでも決して川とは離れず、道は続いてゆく。そろそろ疲れてきた。



六号路最大の難所、川の中の飛び石コースにやってきた。前日までの大雨にもかかわらず、足場の石はきちんと露出していてさほど濡れる心配はなかった。



川の中コースを抜け、急な階段をゼエハアいいながら登った先は、突然周囲が明るくなり、一号路と合流して石畳の道となった。ここまでくればもう山頂は目の前である。



ようやく山頂に到着。丁度1時間半程度の行程だった。山頂の広場はやはりこの大混雑。といってもこの程度は予想の範囲内なのでどうということはない。


早速山頂の景色を堪能、といくべきところだが、もうお腹がペコペコで、何をおいてもまず飯を食わねば、ということで、わき目も振らずに食堂へ駆け込んだ。



この一杯が何度でも俺を蘇らせる。



高尾名物とろろそば。実は今回の登山のお目当ての一つがこれ。去年の秋に登ったときも同じものを食べ、とてもおいしかったのでまた食べたいと思っていたのだ。念願かなって感無量である。汁一滴のこさず完食してしまった。
空腹は最良の調味料、とはよくいったものだが、それを差し引いても良くできた一品である。


すっかり腹を満たした後は、ようやく景色を堪能することとする。



天気が良かったので富士山もこの通り拝むことができた。見事なものだ。高尾山頂から富士山を見るのは生まれて初めてかもしれない。


この後、広場にあるビジターセンターで高尾の自然についてひととおりお勉強。高尾山は亜寒帯と温帯の境目にあるという気候的特徴から、両方の気候帯に属する植物が同時に観察できるなかなか面白い特徴を持っているそうだ。一部人工林があるほかは天然の植生をよく残しており、関東の自然の姿を知るよい環境になっているそうだ。

さらに13時からは職員によるミニ講義があるというので参加してきた。高尾山に住むムササビについて、なかなか面白いお話が聞けた。いるところにはいるものだ。


さて頂上でたっぷり遊んだので、そろそろ帰るとする。帰り道は一号路をとろうかと思ったが、まだ14時過ぎということで登ってくる人も多く、帰る人とのぶつかりあいで大混雑、とてもまともに降りれる状況ではなさそうだったので、去年も使った稲荷山ルートで降りることにした。
この道、結構アップダウンと凸凹ががきついのでできれば避けたかったのだが。。



降り始めは、急な階段を上ったり降りたりの繰り返し、登ってくる人たちは、この時点で皆ゼイハアと息も絶え絶えである。あと一息だ、がんばってください。

こちらのルートは、広葉樹の多かった六号路と異なり、周囲はほとんどが杉・ヒノキに囲まれている。道自体も尾根伝いのため、右も左も急峻な崖となっており、まるで薄い板のヘリを歩かされているかのようだ。

やはり山登りは上りより下りのほうがきつい。積み重なった疲労のせいで、一歩降りるごとに足がガクガクとなり体を支えられない。周りの子供達はキャッキャいいながら駆け下りていく。くそ、俺だってまだまだ、今にみておれ。と思うが体は言うことを聞かぬものだ。

無理せず休み休み降りていくこととする。



道半ばほどにあるあずま屋からの眺め。東京タワー、スカイツリー六本木ヒルズまで見ることができた。



ようやく出口に到着。最後はかなり足に来ていて、手すりがなければ危ないところだった。日ごろの運動不足を呪うばかりである。


帰りには地元に近い温泉に浸かって体の汗と泥を流した。全身ヘトヘトになったが、天気も良かったし、満足の一日であった。