石原「尖閣購入プラン」についての反応

石原都知事のおじさんが、ワシントンで尖閣諸島を東京都が購入する」とブチあげた。

久しぶりに胸のすくニュースである。俺は石原おじさんはあまり好きではないのだが、これは全面的に支持せざるを得ない。
実際の購入に際しては予算を都議会に諮る必要があるとのことだが、是非粛々と、かつ速やかにことを進めてもらいたいものである。

尖閣は、国防上・戦略上重要な土地でありながら、国の実効支配体制は不十分であり、しかも個人が所有しているということが喉に刺さった骨のように感じていた。もちろん、本来は国がきちんと所有、管理して中共のつけいる隙を与えないのが一番ではあるが、何しろ売国上等、中韓様々の民主党政権である。現所有者が「国には売りたくない」と考えるのもいたしかたないことである。

都が所有することにより、中共の挑発的行為に対し国の対応がまずい場合は、堂々と抗議し、改善を求めることができる。ある意味、国が所有するよりもいいかもしれない。

面白いのは、知事がこの発表をわざわざ訪米中に行ったことで、この情報があまりバイアスがかかることなく、そのまま国民に伝わったことだ。民主党も最近この手をよく使うが、良くも悪くも国内のややこしいことをすっ飛ばして直接メッセージを伝えたいと思ったら、もう海外発信したほうが早い、ということなのかもしれない。国内メディアの存在意義がどんどん薄まってくるねぇ。

もちろん国内メディアも黙っているわけはなく、社説などで各社の立場を明らかにしている。論点がわりと明快な問題なので、どの新聞がどういう立ち位置なのか、比較して見るとわかりやすい。

朝日新聞はさすが、安心のクオリティだ。

尖閣買い上げ―石原発言は無責任だ

〜 そもそもこれは東京都の仕事ではないはずだ。知事は「島々を舞台にしてさまざまな施策を展開する」という。けれど、日本人が上陸しただけで反発してくる中国のことだ。問題はいっそうこじれるだろう
〜 そもそも、都民の税金を使って島を買うことの説明がつくかも疑問だ。都議会に予算案を提出するというが、そう簡単に理解が得られるとは思えない。石原氏には、新党構想が取りざたされている。その折から、税金を使って選挙向けのパフォーマンスをしているようにも見える。

朝日新聞社説 2012.4.18】

さんざんありもしない嘘をばら撒き、国内の反日勢力を焚きつけて日中関係をこじらしてきたのはお前らだろうが。こんな奴らに都民の意思を代弁してほしくないぞ。あげく言うに事欠いて選挙向けパフォーマンスに貶めて論点ずらしを図ろうとしている。

いやあ、朝日が反対してくれてよかった。もし賛意を示そうものなら、この尖閣プランにも何かウラがあるんじゃないかと、逆に勘ぐってしまうところだ。


毎日の社説も同じようなニュアンス。

石原氏の尖閣発言 都が出るのは筋違い

〜 領有権を主張する中国から尖閣諸島を守るため、という主張は威勢がいいが、領土の保全はすぐれて国の仕事である。都が出てくるのは筋違いというものだ。

〜 石原氏は政府に対応を委ねるべきである。領土を守り、周辺国との対立をいかにコントロールするかは、国家の安全保障の根幹だ。石原氏には、政府は弱腰で国家の体をなさないとの不満があるのだろうが、これは国が責任を負うべき問題であり、都民が都政を委託した知事の仕事ではない。東京都が島を買って「独自外交」を進めることは、自治体ののりを越える。それこそ国家の体をなさなくなる。

 石原氏のような発言が出てくる背景には、中国が尖閣諸島周辺海域で漁業監視船などの活動を活発化させていることも理由に挙げられる。中国は、日本の世論を刺激するような行動を慎むべきだ。今回の所有権論議も、日本の国内問題である。

毎日新聞社説 2012.4.19】

国じゃ信用ならないから、長い付き合いを通じて都知事とようやく話がまとまったところだといっておろう。国がやるべきだ、っていったって地権者が売るつもりないって言ってるのにどうやって介入するというのか?強制執行でもするのか?
だいたい、島の購入行為を「独自外交」と言っておきながら、最後に「日本の国内問題である」とか書いてある。どっちだよ。
これは最初から石原批判、の結論ありきで書いた作文だな。事実も捉えてない上に同じ文章の中で論点が矛盾している。小論文の試験では確実に減点されるポイントだぞ。

いちおう、毎日新聞には昔いろいろ世話になったんだけどなぁ。


東京新聞はさらにつっこみポイントが多くて楽しい。

尖閣」石原発言 都税は暮らしのために

 石原慎太郎東京都知事尖閣諸島の一部を都が購入する考えを表明した。政府の対中外交姿勢に一石を投じる狙いだろうが、都が買う必然性はあるのか。都民の税金は暮らしのために使ってほしい

〜 尖閣を守るのは政府の仕事であり、外交は政府の専権事項だ。尖閣を個人ではなく、国、尖閣のある沖縄県石垣市などの関係公共機関が管理することが望ましいことは理解するが、なぜ東京なのかという疑問は拭えない
 都知事の第一の仕事は都民の暮らしを守ることだ。国益を守ることが都民の暮らしを守るという理屈は成り立たなくもないが、都の貴重な税金は子育て環境の充実など身の回りのことに使ってほしいと願う都民は多いのではないか

〜 中国の海洋進出から尖閣の実効支配を守るには、領土領海領空を守る毅然(きぜん)とした態度はもちろん欠かせないが、中国世論をいたずらに刺激することは逆効果ではないか。外交問題を複雑化させない知恵の歴史に学ぶことも必要だ。

東京新聞社説 2012.4.18】

尖閣がこのまま無防備に放置され、国土が他国に蹂躙されるようなことがあっても、都民の暮らしには影響はないとでも言うのか。今回、都が乗り出さざるを得なかった経緯は地権者の話を聞けばわかるだろう。筆者も少しは新聞を読んだらどうか。
東京新聞も、どうしてもこの事案を外交問題にしたいらしいが、尖閣が個人所有であろうと、都所有であろうと、国土を他国の侵略から守るのは国の仕事であることに変わりはない。

「歴史に学ぶ」?他国に遠慮し譲歩し続けた結果が今のありさまだ。優柔不断な態度こそが外交問題を複雑化させる。今回の尖閣事案はあくまで国内における土地所有権の移転であって、中国世論など関係ないのだ。
まあ、東京新聞じゃこのレベルか。


産経の主張も読んだが、こちらは石原支持の態度。「国であれ、自治体であれ、尖閣諸島が公有化されることは、そこに日本の主権が及んでいることをより明確にする重要な意義がある。」と、今回の提案を評価している。
「中国との事なかれ主義外交を続けてきた歴代自民党政権の責任も大きい。」もちろんその通りだが、あからさまに敵対行為をしてきた中国人船長をうやむやに放免した民主党の対応も非難せねばフェアじゃないぞ。
しかし産経も絶賛売国中のフジテレビと同グループのくせに、たまにこういうまっとうなことを言ったりするからよくわからない。韓流汚染されている分、中共の手は入っていないのかもしれない。


読売も社説はまとも。「都が購入すれば不安定になりがちな個人所有から抜け出せる」とした上、海上保安庁による尖閣周辺の監視体制強化を国に求めている。

なんだ、もっとアホなこと書いてくれないと面白くないじゃないか。


ただ、いずれも共通するのは、批判の矛先は現政権には向いていないということ。そもそも地権者が国には売りたくないと思った原因の一つが現政権の態度であるわけで、自民党時代以上に特定アジアに媚びる姿勢を見せ続ける民主党政権への非難が、まずあってしかるべきだ。


社説なんてどうせ誰も読んでないだろうと思って適当に書いてるんだとは思うけど、つっこみを入れるつもりで見てみると、意外と面白いものである。

ともあれ、尖閣購入プランには大いに期待する。都議会の動きも注目だ。昔、わけあって都庁の資料室に通って都議会議事録をあさったことがあるが、場合によってはまた調べに行って見てもいい。
国は余計な口を出さずに、監視体制だけ強化しておればよろしい。