平清盛 その2

大河ドラマ平清盛第三回までみた。

相変わらず違和感の多いドラマではある。まず、とにかく画面が汚い。聞くところによると、ドラマを見た兵庫県知事も苦言を呈したというが、もっともである。朱漆がはげてゴミためのようになった門、みすぼらしい庶民、狭くて埃っぽい道、まるで貧民街である。
平安末期で都の整備もかなり滞っていたであろうという解釈なのだろうが、せめて内裏の周辺くらいはきちんとして欲しいものだ。絵巻物に描かれた都の様子はさすがに多少の美化があるかもしれないが、俺のイメージはそういうのが元になっているだけに、抵抗感が強い。昔のことだから汚いとは限らんはずだ。都の大通りにどれだけの幅があったかなんて、時代考証するまでもないだろう。
まさか李朝末期のソウル市街を参考にしたのではあるまいな。けしからんことだ。
結局のところ、写真があるわけでも無く、都の姿について確たる証拠はない以上、製作者がこの情景をどう伝えたいかにかかっているわけで、NHKは平安末期の都を薄汚れたスラムとして表現したかったということだ。俺は別にいいが、あまり知らない人がこれを見て、昔の日本は汚かったんだなぁなんてイメージを持たれてしまうとしたら、残念なことだ。

主役のマツケンにしてもひどい。顔は真っ黒、髪はボウボウでボロを纏って闊歩する様は実に見苦しい。無頼も結構だが、ちとやり過ぎな気がする。御前の舞のシーンでは漸くちゃんとしたと思ったら、おいおい、何しとんねんと思わず突っ込んでしまった。

まあ、第三回にいたって彼もついに更生の兆しを見せ始めたので、早くオープニングに出てくるような凛々しい赤糸威の大鎧の姿が見て見たいとも思う。その辺の成長のギャップを感じさせる為の演出と考えればまあ仕方ないか。

まだある。
清盛の愛刀、どうも青龍刀(でも反りのない直刀)ということになっているようだが、これがまたみすぼらしくてどう見てもナマクラ、平氏の棟梁の刀に相応しくない。早くこのみっともない棒切れを手放して美しい太刀を手にして欲しいものである。

そんなこんなで相変わらず文句たらたらではあるが、楽しみな面もある。

佐藤義清(西行)、藤原通憲信西)といったこれから物語のキーマンとなる人物が地味ながらも登場してきた。伊藤忠清のような後に大活躍する(筈の)家臣も顔を出す。
なにかと清盛に批判的な平忠正は後の保元の乱へ至る伏線か。源為義が子義朝へ掛ける期待と愛情はその後の悲劇の深さを予感させる。
ちょろりと顔を出す人物たちの素姓を「何だっけ」と調べるのもなかなか楽しい。

なーんだ、さんぞん文句言っといて結構楽しんでんじゃん俺。
まあ、こんなくだらぬ感想文書いてる時点で。

次回はいよいよ殿上闇討のエピソード。仕組まれた罠に忠盛が如何なる機知をもって脱するか(知ってるけど)。気になるのは「伊勢の瓶子はすがめなり」の節をどうするのか。もちろん中井貴一は眇などではない。っていうか放送コードに引っかかってカットかな。

てなわけで次回も楽しみにしている。