アメリカって

前の記事で「政府の情報隠蔽」について書きながら、ふと思った。

TPP反対派の間では、この協定は米国の陰謀であり、日本に対する侵略行為であるとする意見がよく見られる。まあ、結果としてはそうなるだろうし、俺もそう思っていた。

だが、この問題に関し、アメリカは結構フェアな態度をとっている。


TPP推進派が「交渉参加後、不利な条件だったら脱退すればいい」という意見を発したのに対し、

米国のワイゼル首席交渉官は記者団に対し、途中で離脱する可能性を残した交渉参加案が日本国内で浮上していることについて「真剣に妥結に向かう意志がない国の参加は望んでいない」と指摘
日本経済新聞】10/29

と、ちゃんと教えてくれている。これがズルいやつなら、「途中で脱退するのをとめることはできない」とか曖昧なこといって推進派を後押しするはずだ。


そもそもオバマ大統領にしたって、米国がどういう目的でTPPをはじめとする国際交渉に臨んでいるかは、ことあるごとにはっきりと述べている。「世界正義」だの「国際秩序」だのきれいごとは言わず、ストレートに米国内の雇用を増やし、輸出を倍増する、と言っている。

これを陰謀とか言われたら、俺だって
「いや、だからそうゆったじゃんか!!」って怒るかも。


今回の医療保険の件についても、ちゃんと事前に教えてくれているではないか。
そんなのが日本国内で公になったら大反発が起きるに違いないし、別に教えてやる義理もないだろうに。気をつかってくれてるのか?


交渉参加後どうなるかはともかくとして、アメリカは日本に対して甘い言葉を弄して騙して招き入れようなどという態度はとっていないと言っていいだろう。

それどころか、日本の交渉参加を歓迎はするだろうが、積極的に参加を要請しているようなそぶりも見えない。普天間問題の埋め合わせをアメリカに求められている、というような説もあるのだが、そういう声はすくなくとも公式には聞こえてこない。

実は、アメリカにとってはどっちでもいいんじゃね?


アメリカの肩を持つ気は別にないが、このことに関してアメリカを悪者扱いするのは、少し筋違いなのではという気がしてきた。(米韓FTAはずいぶん無慈悲な結果になったようだが…)

であるならば、TPPは対米関係がどうとかいう問題ではなく、日本国内の問題なのではないだろうか。