TPP反対デモに参加してきた。

土日を利用してTPP反対デモに参加してきた。これが人生初のデモ参加だ。

面白いのは、主催団体の背景が異なる二つのデモに参加したことでわかったのだが、同じ主張をあげているにもかかわらず、ずいぶんと毛色が異なるということだ。



■10/29銀座デモ

13:30スタートのデモ集合時刻ににちょっと遅れてしまい、ルート上で待っていたら、前方から勇ましいシュプレヒコールの音と林立する日の丸が見えてきた。


俺は最後尾から列に入り、デモに参加した。

列に入ってしまうとなかなか全体像が掴みにくいのだが、ざっと見て参加者は300人、多くみても500は越えないだろうという感じである。意外と少ない、というのが正直な感想だ。年齢層は30〜40前後がコアと見え、男女比は俺の周囲を見る限り6:4といったところだ。

銀座の人通りが多い中を声をあげながら歩くのはなかなかいい。周囲の人もそれぞれに訴えたいメッセージをカードにして沿道にアピールしている。

ときおり、参加者ではない通行人がガッツポーズをしてデモを応援してくれるのが見える。大半は「なんじゃこりゃ」という奇異の目だが…

デモ隊が新橋を過ぎ、霞が関方面に舵を切ると、だんだんと歩道の人の行きかいがまばらになってきた。オフィス街だから無理もない。いくら声をあげてもオーディエンスがいないとなかなかもりあがらないものだ。

およそ2時間の行進ののち、官庁街を過ぎて日比谷公園の端でデモは解散した。
当たり前だが、何事もなく無事に終わったデモ行進となった。


■10/30 渋谷デモ

14:30頃に宮下公園の集合場所に来てみると、まだ参加者ははまばらで、全部合わせても50人いくかどうかという状況だった。

ネットのその手のスレッドではかなりの盛り上がりを見せていたので、はっきりいって拍子抜けの状態。だ、大丈夫かなぁ!?と思うも、とりあえず出発まで待機していると、その後もちらほらと参加者が集まって来たようで、スタート時にはおおよそ300人前後になったようだ。

ここで気づいたのが、参加者の一人として日の丸を持っている人がいないこと。昨日のデモでは大きな日の丸が多数はためいていただけに、雰囲気の違いはなかなか興味深かった。あまり安易なレッテル貼りは良くないのだが、これが左翼系のデモなんだなあと実感した。

ともかく、デモ隊は原宿方面へスタートした。ここでもシュプレヒコールの挙げ方が昨日と随分違うのに驚いた。

起草者のセンスの違いだろうか、語呂が悪く聞き取りにくいのもあって、とにかく唱和しにくくて困った。

スタッフから「これお願いします」と横断幕を渡されたので、任されたからにはとにかくピシッと見えるよう頑張って腕をあげていた。たるまないようにするのはなかなかの苦行だ。

渋谷駅前はさすがに一般通行人も多く、注目を集めていたものの、その視線は昨日以上に冷ややかに感じた。そもそもTPPってなんのことだか知らない、自分には関係ないといった雰囲気に見える。(写真は表参道)


予定では四谷方面にいくと聞いていたのだが、変更したのだろうか、青山から表参道を経由して明治通りに戻り、宮下公園にもどってデモは無事終了した。




以上が簡単なレポートなのだが、率直に言って、落胆した。フジデモのときは数千人単位の行動が見られたが、よほどの大問題であると思われるTPPに対しては主催者の違う二回を合わせても1000人を越えなかった。

デモに説得力を与えるのは数の力だけだ、と書いた。その意味では今回のデモは十分な説得力を得たとは言えないだろう。

組織的な動員がなく、告知も短期間な上に媒体はネットだけ、それも意図を持って検索しないとデモ情報にはヒットしないような状態だったのだから、健闘といってもいいが、やはりこの結果は残念だ。


もともと、デモで何かが変わる、何かが起こるなんて期待して参加したわけではない。とにかく意思を示さなければと思っただけだ。デモ自体には大した効果なんかない。暴動になるとか、何十万単位で集まるとか、事件レベルになれば別だが…

TPP条約の批准には国会の決議が必要とはいえ、交渉への参加が首相の専決である以上、これを阻止する方法は今のところ一つしかないと思っている。

それは、交渉参加を首相が強行する場合、民主党内のTPP反対派が離党の上、内閣不信任案を野党と共同して提出すると宣言することだ。野田内閣に対する直接的な打撃を与える方法はこれしかない。

ただこれには民意の後押しが必要だ。離党のリスクを負う民主党議員には、「正義は我にあり」と確信してもらわなければ、なかなか行動に踏み切ることはできないだろう。

俺は、今回のデモは彼らの後押しをするための民意を見せる機会だと位置付けていた。そのために人数というパワーがもう少し、せめてフジデモ程度には欲しかったなぁ、という感想だ。

ともあれ、やらないよりはやったほうがいい。まだ終わったわけではない。野田首相がTPP交渉参加を表明すると言われるAPECまでまだ若干の日にちがある。それまでに何ができるのか、自分なりに考えてみたい。
折れそうになる、あきらめそうになる自分を奮い立たせている。



ところで、デモそのものの感想だが、やはりこういうデモにははためく日の丸はあった方がいいなぁと思った。威圧感というとすこし違うが、迫力がある。何より、参加しているものとして「この旗の下に!」という一体感が生まれる。まさに旗印というわけだ。
そんな風に思ってたのは俺だけかもしれないが。。

日本の主権が、日本人の生活が脅かされる危機なのだから、国旗をはためかせたところで趣旨に反することは何らないと思われるのだが。


(写真はフジデモ)

この辺が「ネットウヨク」といわゆるサヨクの間の見えない壁なんだろうか。こんな大事な問題で、しかも論点は完全一致しているにもかかわらず、互いに連携しようとかいう雰囲気が見えないのも一つの問題ではないかと感じた。

俺はネットウヨクてことになるのかな。にわかですけどね。