サイボク温泉

3連休の中日。
とりたてて予定もないヒマ人な俺は、カラオケ屋に篭ってサックスの練習でもしようか、あるいは神宮に行って弱いベイスターズの負け姿でも見届けてやろうかと考えていたが、なんとなく仕事に疲れた身体を癒してやりたい気分になって、温泉に行ってみることにした。

そこで今回のターゲットに俺が選んだのは、埼玉県日高市にあるサイボク天然温泉 まきばの湯」だ。
都心から1時間ちょっとでつく立地にありながら、さる業界から5つ星認定された源泉賭け流しの湯が評判だという、ふれこみの温泉だ。


鶴ヶ島駅で降りてバスに揺られること30分、眼前にその建物が現れた。

最近出来た施設らしく、見た目はご立派なものだ。


さてさっそく風呂へ、と行きたいところだが、フロ入ってメシくってホイ、と帰ってしまっては余りに寂しい。周囲にいろいろ付属施設があるようなので、ちょろりと見物してみることにした。

なにやら賑やかな方面へ歩いてみると、ちょっとした市場エリア的なものがあらわれた。


地場ものをはじめとした国産の野菜や果物が並んでいる。特に地場ものはかなり安いようだ。

たくさんの奥様たちが品定めをしておる。
近くに住んでいるのなら、車でちょっと買いにこれてなかなかいいのではないだろうか。


ちょっと進むと、売店の前に人だかりができている。
家族連れ、カップルなどで大賑わいだ。


さすが豚で名をあげた牧場だけあってジャンク食もしっかり豚フィーチャーされている。


さらに奥にはレストランがあった。ここが噂の名物トンカツを出す店か。

当初はフロに入ってからトンカツを攻めるつもりだったが、もう14時すぎだったので、先にトンカツを済ませることに予定変更した。

メニュー表をみると、トンカツセット¥1,980か。。。なかなかふっかけてきよるわい。
ビンボ臭が身体にしみついてる俺に、昼一食Y2Kはちょっと抵抗あるんだよね。
でもここで退いては男がすたる。清水の舞台からバンジージャンプするくらいのつもりで入り口を潜った。

なお、入浴料(¥1,500)とトンカツとデザートの3点あわせて3,000円のセットクーポンがあったので、こいつを利用することにした。


店内は昼過ぎだがなかなかの盛況っぷり。しばらく待たされてから席に通されると、周囲はファミリーだのカップルだのでわいわい楽しく食べてるなかに、俺だけお一人さまで4人卓を占領している。

うむむ。俺、一人遊び好きなわりにオヒトリサマは苦手なんだよね。精一杯身をすくめてあたかも路傍の石のごとく気配を消しながら、目当ての品が出るのを待った。


来た。サイボク一押し、スーパーゴールデンポーク(SGP)のトンカツだ。

ふむ。見かけでハッタリかまし高級感を演出しようという意図はさらさらないと見える。
あくまで味で勝負、ってことだな。その意気や良し。


ほほう。実は俺、いつも安物ばかり食ってるせいか、トンカツの脂身の臭さが好きではなく、どちらかというとヒレカツのほうが好きだったりするのだが、このトンカツは脂身にむしろ甘みがあって臭くない。肉も「僕ブタっ」と主張し、しっかり肉の味がする。これはなかなかだ。

ケチケチ君の俺にはトンカツ2,000円って!という気もするが、これなら一度食べる価値があるだろう。実は添えられた野菜もこだわりの食材。ライスもうまかった。
こんどカミさんもつれてこなければ。


食べ終わった俺は、風呂に入る前の腹ごなしがてら、周囲をしばらく散策した。

ちょっとした子供広場やパークゴルフ場、陶芸体験教室などもあり、家族連れならここで一日のんびり遊べるようだ。


トンカツ食ったあとだと、こんなブサイクな豚君にもつい「じゅるる」となってしまう。
そんな眼で俺を見るな。


ひととおり歩いたあと、ようやく風呂へと向かった。
施設の入り口にはこんなフザけてるのか真面目なのかわからぬ碑が。

浴室は、休日ということで内湯と洗い場に50人ばかり、露天にも2,30人が常時出入りしていたが、混雑というほどではなかった。しかし思ったよりはこじんまりとしたつくりであった。

露天のほうは、屋根が半分までかかった半屋内となっており、塀も高く、露天風呂といって期待されるような開放感とか、景観とか、風通しとかを感じるものではなかったのだが、まあ駐車場をはさんだ向こう側は普通の住宅地からしょうがないか。

お湯はだいたい41〜42℃のぬるめに設定されていて、ゆったりと長風呂が可能。これはいい。わずかに濁った湯がじんわりと身体をあたためてくれる。源泉掛け流しというだけあって、湯の感じもなかなかいい。

いろいろな種類の湯船が設けられているのだが、大して探検するほどでもないので、大露天の気に入ったポジションを定めてからは、そこでずっとボケ〜っとしていた。


しっかり温まったあとはもちろん、休憩所でビールを一杯。ぷはぁっ。
これがあるから車で来るわけにはいかないんだよね。車ないけどさ。

帰りに仕事でイライラしているであろうカミさんをなだめるために、地元産の豊水を土産に買った。

鶴ヶ島に戻るバスに揺られながら、心地よい疲れが体中をけだるく包むのを感じた。


悪くない一日だった。