青いクリープ

職場で飲むインスタントコーヒー用のクリープが切れてしまった。大変だ。あれがないとコーヒーが飲めないぞ。コーヒーなしで一体どうやって執務中のあのまどろみの桎梏から抜け出そうというのか。

というわけで昼休みに買いに出た。スーパーが近くにあるので便利この上ない。

ところで俺はコーヒー用のミルク代用品はクリープと決めている。以前なんかの本で「いわゆるコーヒー用ミルクはほとんどがただの“白いサラダ油”」だとかいてあるのをみてからだ。

そこで各ミルク的製品の成分を見てみると、なるほど、ただの油だ。オエッ、気持ち悪い。

ところがクリープだけは「ミルク生まれ」を冠して孤高の地位を保っている。値段は少し高めだが。

「…生まれ」という微妙な言い方が、どうも法的に許されるギリギリのところを狙ってそうであやしいが、まあサラダ油よりはマシだろう。

そんなわけでクリープ指名買い。詰め替えパックが置いてある場所はもちろん知っている。

ところが目的の売り場でいくら探すも、あの黄色いパックが見当たらない。サラダ油はいっぱい並んでいるのに。どうしたわけだ。こまるなあ。

しばらく探した挙句、サラダ油の脇に並ぶ青いパックのエリアに気づいた。よくみるとクリープとかいてある。なんだ、パッケージリニューアルしたのか、よりによって青た趣味悪いな、などと思ってよくみると、「クリープライト 脂肪分1/2」と書いてある。

げ。クリープから脂肪分抜いたらなにが残るんだ。脱脂粉乳か?気持ち悪い。脂肪が怖くてミルク生まれできるか。

実に残念なことをするものである。なんでもカットすりゃいいもんじゃなかろうに。コクを生む脂肪分をカットしたかわりに、妙な成分を入れてカバーしちゃってるんじやないかと、そっちのほうが心配になる。

せめていつもの黄色いやつも置いてくれればいいのになあ。見慣れぬ品物を早速試してみるほど俺は好奇心に溢れてはいない。

結局手ぶらでスーパーを後にする他なかった。ああ、明日からのコーヒーはどうしよう。

これも時代の要請か。世の中アブラを悪者扱いしすぎでないかい?