亡国の決断と、国会審議

今日、20時からの記者会見で、野田首相TPP交渉への参加を表明した。

まあ、はじめからそのつもりだったんだろうから、いまさら驚きも落胆もしない。俺としては、次どうするか、どうやって条約を阻止していくかということを考える他はない。

とはいえ、全くもってやれやれだ。

ところで首相の発表に先立ち、国会においてTPP集中審議が催された。ここで自民党佐藤ゆかり議員と首相とのやり取りが実に象徴的であったので、ここにyoutubeの動画と、書き起こしを載せてみることにする。

http://www.youtube.com/watch?v=D56inLxenF8

S:佐藤ゆかり議員  N:野田首相

(15:23頃〜)
S:・・・仮に今後ですね、日本が国内法において、「これは水の安全保障にかかわる事案であるから、国内法を設置して外国企業と国内企業によって水資源の近隣の土地の買収は何らかの差別化をするんだ」と、そういう事案を設けたとしてもですね、これは条約ですから、国内法が曲げられるんですよ。そのことを野田総理いかがお考えですか。

N:まさにこれ、通商の交渉だけではなくて、社会的な影響がいろいろ出る分野があるということをよく理解をしながら、踏まえながら対応していきたいと言うふうに思います。

S:国内法が条約によって曲げられるという認識について、TPPのからみで、どう思いますか。

N:基本的には、わが国の守ってきた法律で対応できるように交渉していきたいと思います。

<しばらく中断>

N:国内法よりも条約の方が上位にあって、それに対応しなければいけない、というその現実のなかでどう対応をするかということを考える、ということであります。

<しばらく中断>

N:(資料を見ながら)これですね、投資…協定…ええ、あ、裁判管轄の問題を、国際仲裁の判断に委ねる、そういうような場合ですね。
ちゅ…仲裁人が入ってきて、仲裁人によって決めていくということなんで、というプロセスがあるということなんで、ニャムッ

<しばらく中断>

N:ISDSの話だったもんですから、ちょっと私あまり寡聞にしてそこ詳しくは知らなかったんで、十分な答えではなかったんですが、その中で、まさに条約と国内法との上位関係だったら、そりゃ条約です。だからこそ、わが国が守ってきたものでいいものだというものを、条約を結ぶために壊していく、ということはしない、というのが基本的な考え方でございます。

S:既にですね、日本は仮に総理がAPECで参加表明をしてもですね、米国議会で90日、承認手続きにかかるんですよ。要するに、TPPの中身の交渉は、わが国日本として手遅れなんですね。もう決まった段階で、二者択一で、「日本政府、これを丸呑みするんですか、しないんですか、どちらかにしてくださいよ」と、それを半年後以降に言われるしかないんですよ。
ですから、日本の国内法というのは、条約が上位にあるわけですから、TPPで決められたものを丸呑みすれば、国内法は曲げなければいけない。変えなければいけない。TPPを選ばなければ、国内法はそのままわが国が管理をすると。そういうシナリオになるんですね。
その、条約のことをお答えいただかなかったが、これは総理ごくあたりまえの質問でしてね、憲法に書かれていることですから、私はお伺いしたまでで、すぐにお答えいただかなかったのは非常に、これはある意味驚愕して、ここで決めるってことはですね、そういうこともわからないでお決めになるということは、あまりに国民軽視ではないだろうかなと、非常に大きな問題を感じたわけであります。

まあね、政治なんて国会の議場で動いてるわけじゃないし、単なるセレモニーとしか思っていないから別にいいんですけどね。野田首相のこのすっとぼけぶりにはあきれるね。
ISDS(Investor-State Dispute Settlement、国対投資家の紛争解決)についてよく知らないとかいってるけど、これはさすがにウソだと思うよ。のらりくらりとしらばっくれてるだけだろうね。「知らなかった」で済ませようとでも思っているのかしら。

なめられたもんだなぁ。

佐藤議員が、「条約にもとづくISDの裁定は国内法に優先するのだから、日本が国内法で守っているものが破られる恐れがある、それについてはどうするんですか」と聞いているのに対し、「国内法でなんとかする」というのが総理のお答え。もうまったくお話にもならない。
野田首相の前にも、厚労相農水相にも同様の質問をしている。おしなべて「国内の法または規制で適切に対処する」というのが回答だ。だからできないっつってんだろ、とは俺の気持ちを代弁するヤジの声。

正直に「日本の国内法は過度に国内の経済活動を阻害している。むしろ外圧によりこれを壊すことが国益に適うのだ!民族主義の排外主義者め、クソして寝ろ!」ぐらい、強弁してみたらどうかね。その是非はともかく、まだ意味はわかるぞ。わけのわからぬ論点のすり替え、しらばっくれでまともな議論をする姿勢をみせず、しかも完全論破されてもなお、はなから決まっている方針が変わることはない。
まあ、こういう不毛な議会の模様は民主党政権に限ったことでもなかったと思うけどね。結局徒党の数で決まってしまう制度上、こういうのは仕方ないのかもしれない。

だがせめて、テレビよ、新聞よ、この国民をバカにした審議の様子をきちんと伝えろ。


あ、無理か。はいはい、期待してませんよ。
南無阿弥陀仏