渇望

スーパーの棚にもようやくいつもの食品が並ぶようになってきたが、未だ枯渇し続けているのが納豆だ。

実にさみしいものだ。

納豆といえば、大学時代に体育の講師だったさるスポーツの元日本代表選手が、
「どんぶりご飯に納豆と生卵ぶっ掛けてガーッとかき混ぜたら、もう完全食品よ。それだけでOK!」とのたまっておられた。

うむ、確かに効きそうだ、とは思ったが、納豆のネバネバと卵のニュルニュルがコラボしちゃう様子を思い浮かべて、どうしても受け入れられず、結局未だ試してみたことがない。

でもそれ以来、あまり金のない学生生活のなかで作る「納豆ご飯・卵焼き・お味噌汁」の黄金トリオは、単に安くてウマイ、てだけではなく、完全食品+αのスーパーコンボを食っているという特別な感情を呼び起こさせるものとなった。

そんなわけで、たまには納豆を食べないと、どうも自分が不完全で不健康なものに劣化していくような気がしてならない。

一刻も早い生産および流通の回復を祈るばかりである。

なお、件のアスリート先生いわく、「納豆卵にとろろをかければ、もう鼻血でちゃうわよ」とのことだ。
俺は怖くてできない。